灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

国共党首会談(洪習会)

台湾の野党・国民党の主席である洪秀柱は10月30日から11月3日の日程で中国を訪問している。1日には蔡英文政権発足後では初めてとなる洪と中国共産党総書記の習近平による国共党首会談が行なわれた。

 

会談は午後4時から北京の人民大会堂で行なわれた。出席者は国民党側は主席の洪をはじめ詹啟賢、胡志強、張栄恭、蔡正元、黄清賢、呉碧珠、共産党側は総書記の習をはじめ王滬寧、栗戦書、丁薛祥、張志軍、陳元豊、陳徳銘のそれぞれ7名づつであった。

 

陳水扁政権時代であった2006年4月に初の国共党首会談が行なわれ、今回は11回目の開催となる。今回の会談にあたって、洪は訪中前の10月30日に時事通信に「平和と繁栄を追い求めることこそ台湾の共通認識」と題した文章を寄稿している。そのなかで洪は「両岸交流の原則は、中華民国憲法および国民党が今年の九月に採択した政治的綱領を基に両岸の平和的発展と,同を求め、異を残し、争議を据え置く事にあります。」と述べており、「求同存異」との表現を用いることで、直接的表現はないものの「一中各表(一つの中国、その解釈はそれぞれが行なう)」を示唆していると考えられる。

実際に国民党のプレスリリースによれば洪は会談で「一中各表」の表現は使わなかったものの、92年コンセンサスに言及した上で「求一中原則之同,存一中涵義之異(求同存異)」と述べ、中台間の交流の原則を提示している。また洪は92年コンセンサスや国民党が採択した綱領に言及しただけでなく民進党の綱領である「台独党綱」に対抗し、台湾独立分離主義を排除することが中台の平和と繁栄を擁護することになると述べている。

 

一方、1日の人民日報によれば習は中台関係の発展のために6点の意見を述べた。(1)一つの中国を体現する92年コンセンサスの堅持(2)台湾独立勢力とその活動に徹底的に反対(3)中台の経済社会融合の発展(4)中華文化の共同推進(5)台湾同胞の福祉増進(6)中華民族の偉大なる復興への協力の6点である。なかでも強調したのは92年コンセンサスの堅持と台湾独立への反対である。92年コンセンサスへの直接的な言及を避けている蔡英文を意識していることは言うまでもない。

 

野党に転落し、議会でも多数を握れていない、また党勢回復の兆しも見えない野党・国民党との会談に応じた習の目的とは何だったのであろうか。それは蔡英文に対して中国側の対台湾姿勢を繰り返し伝える目的と考えられる。

 

また従来の国共党首会談が具体的な政策も取り上げた会談であったのに対し、今回の会談では政治的、抽象的なスロガーンにとどまったことも特徴の一つと言えるだろう。