読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

「日台海洋協力対話」第一回会合

10月31日、東京都内にて「日台海洋協力対話」の第一回会合が行なわれた。これは蔡英文政権発足直後に、日台の窓口機関である交流協会と亜東関係協会が「海洋協力に関する様々な事項に関する日台間の対話の枠組み」として合意し立ち上げられた。

6月21日には台北にて交流協会台北事務所代表の沼田幹夫と亜東関係協会会長の邱義仁も出席し、日台双方の窓口機関による予備協議が行なわれた。同予備協議では7月下旬に台北で第一回会合を行なうことで一致していたが、台湾側から「準備不足」との理由で延期の申し出があり、開催が見送られていた。

しかし10月6日に蔡英文は就任後初となる日本メディア(読売新聞)のインタビューに応じ、近く「日台海洋協力対話」の会議日程等が発表されると述べ、10月27日に正式に31日に東京で開催される旨、公表された。

 

第一回会合は午前9時から午後5時まで行なわれ、出席者は日本側は交流協会会長の大橋光夫をはじめ、交流協会、外務省、海上保安庁、農林水産省、文部科学省等の関係者で、台湾側は亜東関係協会会長の邱義仁が代表団団長を務め、農業委員会漁業署、海巡署、科学技術部、国家安全会議、外交部及び亜東関係協会の関係者であった。

台湾の新聞「聯合報」によれば、席順は日本側では海上保安庁、農林水産省が、台湾側では海巡署(海上保安庁に相当)、漁業署がそれぞれ最前列に着席しており、会合では漁業権に関する問題が焦点となったと考えられる。

 

会合後に、台湾は外交部が、日本は交流協会がそれぞれ会合の概要について発表している。

主な内容は(1)対話を原則一年に一度開催する(2)第一回会合では漁業協力、捜索救助協力、海洋の科学的調査等について率直な意見交換(3)来年は台湾にて第二回会合を開催する(4)漁業協力及び海洋の科学的調査についてワーキンググループを設置する、となっている。

 

しかし日台双方のプレスリリースにおいて、台湾側のみ言及していたのが沖ノ鳥「島」に関する問題である。台湾側の発表によると、会合において台湾側は漁業協力に関する議題の中で、台湾漁船の「沖之鳥」海域における権利を主張し、日本側に「東聖吉16号」を拿捕したことを抗議するとともに訴訟保証金の返還を求めた。これは馬英九前政権時の4月25日に横浜海上保安部が沖ノ鳥島の排他的経済水域で無許可操業をしていた台湾漁船「東聖吉16号」の船長を現行犯逮捕した事件を指している。

台湾側の主張に対して日本側は従来通り沖ノ鳥島が排他的経済水域を有するとの立場を繰り返している。

 

日台間の漁業協力、捜索救助協力、海洋の科学的調査など海洋に関する幅広い議題を扱い、更に定期的に会合を開催するプラットフォームが設立されたことは長期的な日台の海洋協力関係を構築する上で双方に利益をもたらし得る。今後はワーキンググループにおいてより具体的かつ詳細な議論が展開されていくであろう。そのなかで双方が相違を乗り越え、合理的な成果が導き出されることが期待される。台湾の外交部部長である李大維は次の漁期までに双方は「解決策を見つけられる」と前向きな発言もしている。

次の漁期は来年の4月から6月である。「日台海洋協力対話」の議論の推移に注目したい。