読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

トランプ-蔡英文電話会談

米台関係

12月2日、米国次期大統領のドナルド・トランプは台湾の総統である蔡英文と電話会談を行なった。米国の次期大統領が台湾の総統と直接の電話会談を行なったのは、1979年に米国と中華民国(台湾)が断交して以来、初めてとされる。

 

電話会談が行なわれた翌日の3日、台湾の総統府は正式に電話会談に関する報道文を発表した。報道文によると、会談は2日、台湾時間の23時から行なわれ、台湾側は総統のほか、国家安全会議秘書長の吳釗燮、外交部部長(外務大臣に相当)の李大維、総統府代理秘書長の劉建忻、総統府報道官の黃重諺が同席した。

冒頭、蔡からトランプの大統領当選に対する祝意が伝えられ、トランプが就任した暁には「必ずや傑出した執政がなされる」と期待が述べられた。会談では国内経済の発展、国防強化、国民生活の向上及び安全保障に関する考えや理念のほか、両者のアジア地域情勢に対する見方についても意見交換がなされた。また米台関係について、蔡は「今後、更に緊密な協力関係が構築できる」とし、併せて台湾が国際的な課題に対して「より多く参画し貢献できる機会」があるよう支持を求めた。

 

台湾の新聞「蘋果日報」によると、会談は23時6分から23時18分までの約12分間、行なわれた。会談に同席した総統府報道官の黃重諺によると、両者の呼称は、蔡がトランプを「Mr.President-elect」、トランプが蔡を「Mrs.President」と呼び合ったという。

 

トランプも3日、自身のツイッター上で電話会談について投稿し、「The President of Taiwan CALLED ME today to wish me congratulations on winning the Presidency. Thank you!」と「CALLED ME」を大文字にすることで「台湾総統」のほうから電話があったことを強調している。また同日、「Interesting how the U.S. sells Taiwan billions of dollars of military equipment but I should not accept a congratulatory call.」とも投稿しており、電話会談の正当性を強調している。

 

この電話会談について中国政府も反応を示している。3日午前、中国外相の王毅は香港フェニックステレビ記者の質問に対し、「(この電話会談は)台湾方面が行なったつまらない策略に過ぎず、国際社会ですでに形成されている『一つの中国』原則を覆すことは不可能である」と回答している。また「私が思うに、米国政府も長年堅持してきた『一つの中国』原則を覆すことは不可能だろう。『一つの中国』原則は米中関係の健全な発展の基礎である」と米国に対する牽制もしている。

 

また外交部報道官の耿爽は3日の記者会見において「すでにこの件について米国に遺憾の意を伝えている」とした上で、「一つの中国」原則が米中関係の政治的基礎であることを強調した。台湾問題を所管している国務院台湾事務弁公室報道官の安峰山も3日、「台湾方面のつまらない策略によって台湾が中国の一部分であるという位置付け、また『一つの中国』原則を覆すことは不可能である」とし、加えて「台湾独立」についても改めて反対を表明した。

 

電話会談が行なわれた2日、北京の人民大会堂では習近平と米国元国務長官のキッシンジャーが握手を交わし、会談で習はトランプ新政権下の米中関係について「不衝突不対抗、相互尊重、ウィンウィンの原則を堅持し、引き続き米中『新型大国関係』の構築を推進する」と決意を語っていた。皮肉にも米中国交正常化の立役者でもあるキッシンジャーが訪中し、習近平と会談を行なったその日にこの電話会談が行なわれたことは中国にとって一つの「トランプショック」であっただろう。