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灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

中国軍機の宮古海峡上空通過

日中関係

12月10日、中国軍機6機が沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を西太平洋に向かって通過した。同日の統合幕僚監部の「中国機の東シナ海における飛行について」と題した報道発表資料によると、中国機の内訳はSU-30戦闘機が2機、H-6爆撃機が2機、TU-154情報収集機が1機、Y-8情報収集機が1機で、自衛隊は戦闘機等を緊急発進させ対応したとしている。

中国軍機のうちSU-30の2機は宮古海峡を通過後、反転して引き返し、残りの4機は台湾とフィリピンの間のバシー海峡に向かった。

 

これに対し中国国防部報道官の楊宇軍は10日、同日午前に中国空軍機が宮古海峡から西太平洋に向かって飛行したのは「定例の遠海訓練である」とし、「自衛隊のF-15戦闘機2機が中国軍機に対して近距離での妨害飛行を行ない、妨害弾も発射して、中国軍機及び人員の安全に危害を加えた」として抗議を表明した。

さらに楊は宮古海峡上空が「国際航路」であるという中国の解釈を示し、「いかなる特定の国家想定や目標はなく、国際法及び国際慣習に適合したものである」と中国軍機が同海峡上空を飛行することの正当性を強調した。また「自衛隊の行為は危険で未熟であり、国際法が認める航行及び飛行の自由を破壊」しており、「近年、日本の艦船及び航空機の度重なる妨害活動が誤解や誤った判断を導き、海空での摩擦や衝突を引き起こしている」と日本側に責任がある旨、言及した。

 

なお、11日の時事通信の報道によると、防衛省は「中国軍用機に対し近距離で妨害を行った事実はなく、妨害弾を発射し中国軍用機とその人員の安全を脅かした事実も一切ない」と否定するコメントを発表し、さらに「事実と明らかに異なることを中国国防省が一方的に発表したことは、日中関係の改善を損なうものであり、極めて遺憾だ」と非難したとしている。

 

宮古海峡では2016年9月25日、中国軍機8機が通過しており、同海峡で中国の戦闘機が通過したのはその時が初めてであった。同日の統合幕僚監部の報道発表資料によると、中国機の内訳はH-6爆撃機が4機、TU-154情報収集機が1機、Y-8情報収集機が1機、戦闘機(推定)が2機で、これらに対して自衛隊の戦闘機等が緊急発進し対応している。

 

この時も今回同様に中国国防部報道官の楊宇軍が9月29日の定例記者会見において、同海峡上空の通過は「定例訓練」であり、「いかなる特定の国家想定や目標はない」とし、「中国軍機は関連の空域の飛行の自由を享受しており、中国の行動は合法で成熟している」と中国軍機の行動を正当化している。加えて「中国軍は情勢や任務の必要に基づき、遠海訓練を継続する」と表明し、同海峡上空を中国軍機が再び通過することを示唆していた。

 

また2016年11月25日にも中国軍機が宮古海峡上空を通過し、自衛隊は緊急発進して対応している。11月25日の統合幕僚監部の報道発表資料によると、中国機の内訳はSU-30戦闘機が2機、H-6爆撃機が2機、TU-154情報収集機が1機、Y-8情報収集機が1機の計6機で、今回と同型同数であった。

 

11月30日、中国国防部報道官の楊宇軍は定例記者会見において、やはり同海峡の通過は「定例訓練」であることと同訓練を「継続する」ことを強調していた。

 

今回の中国軍機の飛行の意図については引き続き分析の必要はあるが、2016年9月25日に同海峡上空を初めて戦闘機が通過していることと無関係ではなく、「定例訓練」の一環で、「国際航路である宮古海峡上空の通過は国際法に適合している」という中国の主張は今後も繰り返されるだろう。加えて同海峡が九州、沖縄、台湾、フィリピンに連なるいわゆる「第1列島線」に該当し、中国にとって重要な戦略的意義を有していることを鑑みれば、今後も同種の軍事的行動を常態化させ、場合によっては行動のレベルを徐々に引き上げていくことを注視する必要があるだろう。