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灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

中国空母「遼寧」の宮古海峡通過、西太平洋進出

12月25日午前10時頃、中国初の国産空母「遼寧」が宮古海峡を通過し、西太平洋に進出した。同日の統合幕僚監部報道発表資料「中国海軍艦艇等の動向について」によると、確認したのは中国海軍クズネツォフ級空母(遼寧)1隻、ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦2隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート2隻の計6隻で、これらは宮古島の北東約110kmの海域を東シナ海から太平洋に向けて南東進した。

前日の12月24日午後4時頃にも海上自衛隊第12護衛隊所属「とね」(呉)が東シナ海中部の海域で動向を確認しており、それと同一のものと発表した。

また25日午後にはジャンカイⅡ級フリゲートから哨戒ヘリコプターZ-9が発艦し、宮古島領空の南東約10kmから30kmの空域を飛行したことを緊急発進した戦闘機等が確認したとしている。

なお、クズネツォフ級空母が太平洋に進出するのを確認したのは海上自衛隊としては初めてのことである。

 

一連の中国海軍の動向について、中国海軍報道官の梁陽は24日、「中国人民解放軍海軍『遼寧』等から編成されている艦隊の西太平洋海域における遠海訓練は年度訓練計画に基づいて実施している」と説明している。

 

また台湾の国防部は26日、「遼寧」が午前9時(台湾時間)、屏東県鵝鑾鼻の南方90海里(150km)の海域を南西方向に向かって通過したとするプレスリリースを発表した。プレスリリースによると、25日の20時(台湾時間)にも「遼寧」等計6隻の艦隊が台湾が設定する防空識別区から20海里の海域よりバシー海峡を通過したことを確認している。

 

今回の「遼寧」等艦隊の一連の行動の意義について、中国海軍軍事学術研究所研究員の張軍社は25日、「環球時報」の取材に対し、「いわゆる『第1列島線』を通過し西太平洋に進出したこと」と回答している。また一連の訓練から「遼寧および空母編成隊がすでに戦闘力を形成したことがわかる」と評価し、遼寧が2012年に就航してから4年というスピードで戦闘力を形成したことは「外部の予測を大いに通り越した」としている。

 

また26日、中国の「環球時報」は「遼寧編成隊は遠洋航行し、第2列島線に進出すべき」と題した社説を発表している。

同社説は、遼寧は現在「試験艦」という位置付けであるが、「世界に向けて中国の能力と決意を示す」ために今後、更に国産空母を建造する必要があると主張している。

そして「第1列島線の進出にとどまらず、第2列島線にも進出しなければならない」と強調している。

加えて中国が「アメリカの核心的利益地域に迫る能力を有すれば、現在の一方的にアメリカから中国に対して圧力がかけられている状況を変えることができる」として、その戦略的意義からも空母戦闘群の「遠洋化」が必要と強調している。

 

今回の「遼寧」等の動向ついて、中国が戦術的な意図(最近の「トランプ発言」や台湾への牽制など)をもって今回の行動を取ったのかどうかは今後の動向を引き続き注視する必要があるが、いわゆる「A2AD(接近阻止・領域拒否)」能力を誇示する戦略的な意味を有していたことは指摘できる。

「環球時報」の社説が主張する通り、第1列島線にとどまらず第2列島線に進出し、西太平洋における中国の影響力を確立するという戦略目標は今後も不変であると考えられ、政治的また戦略的効果を狙って中国は海空問わず引き続き軍事的行動を取るだろう。