灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

習近平国家主席のスイス公式訪問とダボス会議出席

1月15日から18日にかけて中国国家主席の習近平はスイスを公式訪問した。16日にスイス大統領のロイトハルトと会談したほか、17日には世界経済フォーラム(ダボス会議)年次総会に出席し開幕式で基調講演を行なった。また、18日には国際オリンピック委員会会長のトーマス・バッハ、WHO事務局長の陳馮富珍、国連総会議長のピーター・トムソンおよび国連事務総長のアントニオ・グテーレスとそれぞれ会談した。

 

今回の訪問には夫人の彭麗媛をはじめ、王滬寧(党中央政治局委員・党中央政策研究室主任)、栗戦書(党中央政治局委員・党中央書記処書記・党中央弁公庁主任)、楊潔篪(国務委員)らが同行した。またジャック・マー(アリババ創業者)、王健林(大連万達グループ董事長)、孫亜芳(華為技術董事長)ら企業関係者も同行している。

 

今回のダボス会議の出席について、2015年(年次総会)と2016年(夏季ダボス会議)には国務院総理の李克強が出席していたことから、習が初めて参加したことは国際社会から注目を集めた。

 

習は約50名の国家元首を含む約1700名が出席した開幕式において、「共に時代の責任を担い、共に世界の発展を促進する(原題:共担时代责任 共促全球发展)」と題した基調講演を行なった。

 

講演では経済のグローバル化に対する見方を述べた上で、「揺るぎなく経済のグローバル化は推進しなければならない」と反グローバリズムに反対の認識を強調し、保護主義に否定的な見方を示したほか、「揺るぎない人類運命共同体意識の樹立」の理念を提示して国際社会の協調が重要であると語った。

また習は「中国の発展は世界のチャンス」であるとし、中国は「グローバル経済の受益者であると同時に貢献者でもある」と強調した。その上で「一帯一路」構想に言及し、それが雇用の創出や経済成長につながり、中国だけでなく世界に恩恵をもたらすと意義を述べた。

 

ダボス会議創設者で主催者のクラウス・シュワブは、習が世界経済フォーラム年次総会に出席し基調講演を行なったことは「特別重要な意義を有している」と肯定的に評価し、「中国の夢と世界の夢は相通じる」と述べ中国の国際経済における役割に期待を示した。

 

また習とシュワブとの個別会談では、中国とダボス会議の協力強化とグローバルな課題への共同努力を確認し、会談後には「中国国家発展および改革委員会と世界経済フォーラムの戦略的協力の全面深化への了解に関する覚書(中国国家发展和改革委员会与世界经济论坛关于全面深化战略合作的谅解备忘录)」の署名に立ち会った。

 

ダボス会議においては、同じく会議に出席していたアメリカ副大統領のバイデンとも会談を行なった。会談で習はまもなく退任するオバマに対し祝福の意を伝達するよう依頼し、オバマ政権下で「新型大国関係」構築の共通認識に至って以降、米中関係が正しい方向に発展したと評価した。また「両国国民と世界の人々の根本的利益にとって、米中両国の共同努力と長期に安定した協力関係が必要」と指摘し、トランプ政権以降の米中関係にも触れた。

 

なお、18日にジュネーブの国連欧州本部で行なった「共に人類運命共同体を構築する(原題:共同构建人类命运共同体)」でも「積極的にアメリカとの新型大国関係を発展させるよう努力する」と述べ関係強化の意思を表明した。また同演説では「大国は互いの核心的利益と重大な関心事項について尊重しなければならない」とも発言し、「一つの中国」原則に疑義を唱えているトランプを牽制したと考えられる。

 

習は今回のスイス訪問を中国の影響力を国際社会に十分にアピールする機会と考えただろう。一方で20日に誕生するトランプ政権に対する懸念は依然大きく、今回のスイスでの発言は不安と牽制も含まれたものだったと言えるだろう。