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灼熱東亜~在台日本人の観る日本・台湾・中国~

台湾に住む日本人大学院生が東アジア(日本・台湾・中国)情勢について書きます。

日米首脳会談と中国

日米関係 米中関係

9日から13日にかけて訪米した安倍は、トランプの大統領就任後では初めてとなる日米首脳会談を行なった。今回の訪米には外務大臣の岸田、副総理兼財務大臣の麻生も同行しており、それぞれ国務長官のレックス・ティラソン、副大統領のマイク・ペンスと会談している。

 

今回の訪米に先立つ3日から4日には国防長官のジェームズ・マティスが訪日しており、安倍を表敬訪問したほか、岸田や防衛大臣の稲田と会談を行なっている。

マティスは訪日中、最初の訪問先に東アジア地域を選んだ理由として、「米国にとっての日本の重要性を示すため」と繰り返し、地域の平和と繁栄と自由のため同盟のさらなる強化が必要と決意を表明した。

加えて、尖閣諸島が日本の施政下にあり、日米安全保障条約第5条が適用されることを言明した。

また大統領選挙中からトランプが言及していた在日米軍駐留経費負担の問題についても、日本は他の国の「モデル」や「お手本」になるとし、肯定的に日本を評価した。

このマティス訪日は国内外に「揺らぐことのない日米同盟」をアピールする機会となり、トランプ政権が域内の安全保障にコミットするかどうかの懸念を払拭することに成功したと言える。

 

今回の安倍訪米は、安倍とトランプの個人的信頼関係を構築し、日米同盟の重要性を再確認するものとなった。

 

日米首脳会談後に発表された共同声明には、初めて尖閣諸島における安保条約第5条の適用が明記されたほか、「核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」とし、文字通り「揺らぐことのない日米同盟」を強調した。

 

経済関係についても、TPPから米国が離脱表明したことを留意しつつ、二国間の枠組みに関して議論を行なうこと、また日本は「既存のイニシアティブ」を基礎に地域レベルの進展を引き続き推進することなど「最善の方法」を探求することを誓約している。

そして、麻生とペンスの下に、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの3点を柱とした経済対話を立ち上げることも決定した。

 

一連のマティス訪日、今回の安倍訪米を通して、「揺らぐことのない日米同盟」を確認し、日米両国の「密月」を世界にアピールすることに成功したが、中国はこれをどのように受け止めているだろうか。

 

マティスが訪日時に尖閣諸島の安保条約第5条の適用を発言した際には、外交部報道官の陸慷が3日の記者会見において、「釣魚島及びその付属島嶼は古来より中国固有の領土であり、この歴史的事実は改竄できない」として従前通りの中国政府の立場を表明している。

また日米安全保障条約について、同条約は「冷戦期の産物」とし、「釣魚島の主権問題における誤った言説」と「問題を複雑化させ地域の不安定要因を生み出す」ことを止めるよう、米国に要求している。

 

また今回、日米共同声明に尖閣諸島の安保条約第5条の適用が明記されたことについて、外交部報道官の耿爽は13日、「日米の関連した言説を厳しく注視しており、断固として反対する」と不満を表明している。

その上で、中国政府の尖閣諸島の主権に対する立場を表明し、「日本がいわゆる『日米安保条約』を利用して米国を巻き込み、その違法な領有権の主張を裏書きすることに断固反対する」と日米安全保障条約に対する批判も展開している。

 

今回の共同声明では名指しは避けながらも関係国が「拠点の軍事化を含め、南シナ海における緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを求める」として、中国の南シナ海における軍事的行動に懸念を示している。

 

これについて、耿は同日の会見で、「中国は南シナ海の諸島及び近海に対して争うことのない主権を有している」とし、各島嶼上における建設は「主権の範囲内で、軍事化とは無関係」と反論している。

さらに名指しは避けながらも米国の同海域における艦船投入に言及した上で、「日米が客観的、理性的に南シナ海問題に向き合い、南シナ海の平和と安定に利することをする」ように要求している。

 

このように中国は「尖閣問題」、東シナ海や南シナ海の「海洋問題」については日米に対し反対や懸念を表明している。

しかしそれらはいずれも従前通りの原則的な立場の表明にとどまっており、目新しいものはない。

 

その背景には中国がまだ米国の対中政策を慎重に見極めていることが考えられる。加えて今回の日米首脳会談の開催前には米中首脳の電話会談が行なわれ、米国の「一つの中国」原則の堅持が確認できたばかりである。

 

したがって、このような中で行なわれた日米首脳会談に対する中国の受け止めは抑制的であったと言えるだろう。